「モバイルバッテリーのワット数(Wh)の算出方法を解説する」記事です。
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モバイルバッテリーのワット数(Wh)算出方法を分かりやすく解説
モバイルバッテリーを購入するときに、容量としてよく目にするのが 「mAh(ミリアンペアアワー)」 という表記です。しかし、最近では飛行機への持ち込み制限や安全基準の観点から、「Wh(ワットアワー)」 という表記も重要視されています。
「Whってなに?」
「mAhしか書いてないけど、Whはどうやって計算するの?」
「飛行機に持ち込めるか判断したい!」
こういった疑問を持つ方に向けて、本記事では Whの意味・算出方法・注意点・実用的な計算例 などを3000文字以上で徹底解説します。
Whとは?
まずは基礎知識として、「Wh」が何を示す単位なのかを理解しておきましょう。
Wh(ワットアワー) とは、
1時間あたりにどれだけの電力(仕事量)を供給できるか
を示す単位です。
- W(ワット)=電力
- h(アワー)=時間
- Wh=電力量(バッテリーがどれだけ使えるかの総量)
つまりWhは、 バッテリーの“実際に使えるエネルギー量” を表しており、mAhよりも分かりやすい指標と言えます。
mAhとWhの違い
モバイルバッテリーでよく見るmAhは 「電流量 × 時間」 を示します。
- mAh:何mAの電流を1時間流せるか
- Wh:どれくらいの電力量を持っているか(電圧も考慮)
ポイントは mAhには電圧の情報が含まれていないこと です。
バッテリーは同じmAhでも、電圧(V)によって実際に使える電力(Wh)が変わるため、正確な容量を比べたい場合にはWhで比較するべきなのです。
Whを算出するための公式
Whを求める公式はとてもシンプルです。
■ Wh=mAh ÷ 1000 × V
または、
■ Wh=Ah × V(mAhをAhに変換して計算)
例:10,000mAh/3.7V のモバイルバッテリー
一般的なリチウムイオン電池は 3.6〜3.7V を基本の電圧としているため、ほとんどのモバイルバッテリーは3.7Vで計算します。
例えば…
- 容量:10,000mAh
- 電圧:3.7V
Whの計算はこうなります。
10000mAh ÷ 1000 × 3.7V
=10Ah × 3.7V
=37Wh
→ 10,000mAhのモバイルバッテリーは 37Wh 前後になる
同じ10000mAhでも電圧が変わればWhも変わる点が重要です。
なぜWhが重要なのか?
「mAhで十分じゃない?」と思ってしまいがちですが、Whが重要な理由はいくつかあります。
1. 飛行機への持ち込み制限に関わる
航空会社や国際航空運送協会(IATA)は、リチウムイオン電池の機内持ち込み量を Wh基準 で規制しています。
一般的な基準は以下:
- 100Wh以下 → 制限なく持ち込み可能
- 100〜160Wh → 航空会社の許可が必要
- 160Wh以上 → 持ち込み不可
10,000〜20,000mAhのモバイルバッテリーは大体20〜74Whの範囲に収まるため、ほとんどが持ち込み可能です。
2. 実際に使えるエネルギーがわかりやすい
mAhでは電圧が分からないため比較が難しいですが、Whなら電圧を含んだ純粋なエネルギー量のため、ほかのデバイスやバッテリーとの比較がしやすいです。
3. 外部出力と内部電圧の違いが理解できる
モバイルバッテリーは内部のセルが3.7Vでも、USB出力時は5V、PD(Power Delivery)なら9〜20Vまで昇圧されます。
昇圧時のエネルギーロスを計算する際にもWhが基準になります。
よくある疑問:5VのUSB出力で計算しないの?
よく質問されるのがこれです。
「USBが5Vなら、mAhと5Vで計算したらいいのでは?」
→ 答えは No です。
理由は、
- モバイルバッテリー内部の電池セルは3.6〜3.7V
- バッテリーは内部電圧で容量(mAh)が表示されている
- USBの5Vは“昇圧後”の電圧であり、内部の実容量とは異なる
そのため、Whは 内部セルの電圧(通常3.7V)で計算するのが正しい のです。
モバイルバッテリーのWh計算例まとめ
いくつかよくある容量で計算例を示します。
■ 5,000mAh(3.7V)
5000 ÷ 1000 × 3.7 ≒ 18.5Wh
■ 10,000mAh(3.7V)
10000 ÷ 1000 × 3.7 ≒ 37Wh
■ 20,000mAh(3.7V)
20000 ÷ 1000 × 3.7 ≒ 74Wh
■ 30,000mAh(3.7V)
30000 ÷ 1000 × 3.7 ≒ 111Wh
→ この場合、飛行機は「100Wh超え」となるため、航空会社の判断次第で持ち込み不可になる可能性あり。
出力W数(最大出力)とWhは別物
ここで注意したいのが、
- Wh → バッテリーの総容量
- W(ワット)→ 一度に供給できるパワー(出力)
まったく別の概念です。
例
- 「20,000mAh(74Wh)」のバッテリー
- 最大出力「20W(PD対応)」
この場合、
74Wh のエネルギーを、最大20Wのパワーで出力できる
という意味になります。
Whは“総量”、Wは“瞬間的なパワー”であり、どちらも性能判断には必要です。
実際に何回スマホを充電できるか?
Whが分かれば、スマホのバッテリー容量から 何回フル充電できるか も計算できます。
計算の目安:
充電回数 = モバイルバッテリーWh ÷ スマホのバッテリーWh × 効率
通常、変換ロス(発熱や昇圧)を含めて 効率は60〜70%程度 と言われています。
例:iPhoneのバッテリーを基準に計算
iPhoneはモデルによって容量が違いますが、おおよそ 11〜13Wh 程度です。
20,000mAh(74Wh)のバッテリーで計算すると…
74Wh ÷ 12Wh × 0.65 ≒ 約4回
このように、実用の充電回数もWhを使うことでより現実的な値が出せます。
モバイルバッテリー選びにおけるWhの活用ポイント
モバイルバッテリーを選ぶ際、Whを知っておくと次のようなメリットがあります。
■ 飛行機への持ち込み判断ができる
Whが100を超えるかどうかがポイント。
■ スマホを何回充電できるか明確に分かる
mAhより現実的な判断が可能。
■ バッテリーの実質的な容量差が見える
同じ20,000mAhでも、内部電圧が違えばWhも違うため、品質の見極めにも使える。
■ 大型デバイス(タブレット、ノートPC)にも対応可否が判断しやすい
PD対応の電圧やワット数と合わせて性能を把握できる。
まとめ:Whを理解するとモバイルバッテリー選びが一気に簡単になる
本記事では、モバイルバッテリーの Wh(ワットアワー)の算出方法 を中心に、mAhとの違い、計算式、注意点、活用例を詳しく解説しました。
Wh=mAh ÷ 1000 × 電圧(V)
というとてもシンプルな公式で算出できますが、この数字が分かるだけで以下のことが可能になります。
- 飛行機への持ち込み判断
- 実際の充電回数の予測
- バッテリーの真の容量比較
- どんなデバイスに使えるかの判断
mAhしか書かれていない製品でも、自分でWhを計算できれば、より安全で失敗しないモバイルバッテリー選びができます。
必要な容量・使い方・安全性を考えながら、ぜひWhを基準にしたバッテリー選びをしてみてください。


