『無能なナナ』2期の可能性やアニメの続きはどこから読めばいい？

『無能なナナ』とは

『無能なナナ』は、原作・るーすぼーい、作画・古屋庵による日本の漫画作品です。2016年から「月刊少年ガンガン」（スクウェア・エニックス）で連載が始まりました。物語の舞台は、“人類の敵”と呼ばれる存在と戦うため、特殊能力を持つ若者たちが集められた孤島の学園です。

しかし、そこに転校してきた少女・柊ナナは「無能力者」。彼女の本当の任務は、国家から「潜在的に危険な存在」と判断された才能者たちを秘密裏に“処分する”ことにあります。表向きは明るく社交的な少女として振る舞いながら、裏では暗殺者として行動するナナの二面性と、彼女を取り巻く陰謀が物語の核となっています。

2020年10月から12月にかけて、テレビアニメ第1期が放送。全13話で構成され、制作はブリッジ、監督は石平信司。緊張感のある心理戦と、ミステリー的構成が話題を呼びました。

2期・続編の可能性

2025年現在、『無能なナナ』第2期の正式発表はありません。続編が制作される可能性は残っているものの、現状では低いと見られています。その理由をいくつか挙げます。

1. 円盤の売上が低迷している
   　Blu-ray・DVDの第1巻の推定販売枚数は約160枚前後とされ、一般的に“続編が作られやすい目安”である1巻5,000枚には届いていません。円盤の売上は制作委員会が続編を決定するうえで最も影響する要素の一つであり、この数字では採算が取れないと判断されやすい状況です。

2. アニメ放送後のメディア展開が停滞
   　放送当時はSNSなどで話題になりましたが、グッズ展開やコラボ、イベントなどは限定的でした。そのため、再アニメ化に向けたファン需要の波が持続していないと考えられます。

3. 制作体制の問題
   　制作を担当したスタジオ・ブリッジは他作品の制作ラインも抱えており、『無能なナナ』の続編を手掛ける余裕がない可能性もあります。

ただし、原作は現在も連載中であり、物語の核心部分はまだ描かれていません。そのため、原作の完結後に「総まとめ的な形で再アニメ化」や「新章アニメ」として再始動する可能性はあります。

アニメの続きはどこから読めばいいか

アニメ版は、原作コミックスの第4巻（第28話付近）までの内容を描いています。したがって、アニメの続きを漫画で読みたい場合は、第5巻（第29話）から読み始めるのが最適です。

第5巻以降では、新たな登場人物の登場や、「人類の敵」という存在の真実、そしてナナの過去や組織の思惑が明かされていきます。アニメでは描かれなかった伏線や真相が次々に浮かび上がるため、物語の核心に迫る重要な章となっています。

円盤（Blu-ray・DVD）の売上

『無能なナナ』の円盤は全4巻で発売されました。売上データを総合すると以下のような結果になっています。

• 第1巻：約163枚

• 第2巻：約120枚前後

• 第3巻・第4巻：100枚以下と推定

この数値は、2020年当時の他のアニメと比べてもかなり低い部類です。通常、1期の円盤売上が1,000枚未満の場合、続編制作は困難とされます。

ただし、近年は配信サービスの契約数やグッズ売上も重要視されており、一概に円盤の数字だけで判断する時代ではありません。それでも、円盤売上の低さはマイナス材料であることは確かです。

原作のストック状況

原作漫画『無能なナナ』は、2025年現在で第13巻まで発売中です。物語は終盤に差し掛かっているものの、まだ完結はしていません。

アニメが原作4巻までを消化しているため、すでに2期どころか3期分ほどの原作ストックがあります。したがって、「原作が足りないからアニメ化できない」という状況ではありません。むしろ、内容的にはアニメ化のタイミングとしては十分なストックがあります。

現在の物語は学園内の事件を超え、より大きな組織と国家の思惑が絡む展開へと発展しており、物語のスケールは大幅に拡大しています。心理戦だけでなく、ナナ自身の葛藤や正義への問いかけが深まることで、単なる頭脳戦漫画から“社会派サスペンス”へと進化しているのが特徴です。

原作の売上・発行部数

累計発行部数について、公式から明確な数字は公表されていません。推定では「数十万部規模」と見られています。爆発的ヒットとは言えないものの、安定した支持を受けており、一定の読者層が継続的に購入しているようです。

2025年に発売された第13巻の発売時には、各書店で購入特典やフェアが実施されており、スクウェア・エニックスとしても継続的な推進を行っています。これにより、電子書籍を中心に新規ファンを獲得している傾向があります。

アニメと原作の違い

アニメ版は原作に比較的忠実な構成でしたが、いくつかの違いがあります。

1. 心理描写の深さ
   　原作ではナナの内面や葛藤が細かく描写されていますが、アニメではテンポ重視のため省略される場面があります。彼女の罪悪感や正義への疑問など、より人間的な部分は原作でより深く描かれています。

2. キャラクター描写の削減
   　登場人物の一部は、アニメでは登場シーンが短縮されています。特にサブキャラの背景や人間関係の描写が減っており、原作を読むと新たな側面が理解できます。

3. 演出面の違い
   　アニメは映像表現を重視しており、緊張感のあるBGMやカメラワークが効果的に使われています。一方で、原作のほうが“読者の想像力を使う心理サスペンス”としての完成度が高いと評価されています。

総合的に見ると、アニメは「導入編」として非常に優秀ですが、物語の本当の魅力は5巻以降の原作にあります。

作者・るーすぼーいの他の作品

原作者・るーすぼーいは、もともとゲームシナリオライターとして知られる人物です。特に以下の代表作は名作として名高いものです。

• 『車輪の国、向日葵の少女』

• 『G線上の魔王』

• 『戦女神ZERO』シリーズへの脚本協力

• ライトノベル『白蝶記 ―どうやって獄を破り、どうすれば君が笑うのか―』

これらの作品はいずれも、人間の善悪・社会の矛盾・個人の正義といったテーマを深く掘り下げる構成になっています。『無能なナナ』もその系譜にあり、登場人物の心理や倫理的ジレンマを重視する作風が貫かれています。

類似・おすすめ作品

『無能なナナ』のような「能力者×心理戦×サスペンス」作品を好む人におすすめのアニメ・漫画をいくつか挙げます。

• 『今際の国のアリス』
  　極限状態での頭脳戦・生死の駆け引きを描いたサバイバルサスペンス。

• 『ダンガンロンパ』シリーズ
  　学園を舞台にした殺人推理ゲーム。真実を暴く構成が共通しています。

• 『暗殺教室』
  　暗殺というテーマを用いながら教育と人間性を描く。道徳的対比が似ています。

• 『デス・ノート』
  　「頭脳戦」「正義と悪の境界」というテーマで『無能なナナ』と近い哲学を持ちます。

• 『賭ケグルイ』
  　学園×心理×駆け引きの組み合わせ。表情演出や緊迫感が通じるものがあります。

まとめ

『無能なナナ』は、能力者の中で「無能力者」が暗躍するという逆転構造を持った異色の学園サスペンスです。主人公・柊ナナの知略、心理操作、そして人間的な苦悩が絡み合い、単なるバトルものに留まらない深いテーマ性を持っています。

アニメ第1期は原作の序盤をテンポよくまとめた優秀な作品であり、続きは第5巻から読むことができます。第2期の可能性は現状低めですが、原作のストックは十分で、物語もなお進行中。今後の展開によっては再アニメ化のチャンスも残されています。

るーすぼーいらしい「心理戦と道徳の葛藤」が詰まった作品であり、頭脳戦やサスペンスを好む読者に強くおすすめできる作品です。
今後の原作の展開次第では、再び大きく注目を浴びるポテンシャルを秘めています。