『不機嫌なモノノケ庵』2期の可能性やアニメの続きはどこから読めばいい？

2期・続編の可能性

『不機嫌なモノノケ庵』のアニメはすでに第2期まで制作・放送されました。
第1期は2016年6月から9月、第2期「不機嫌なモノノケ庵 續（つづき）」は2019年1月から3月まで放送されています。いずれも全13話構成で、アニメ制作はぴえろプラスが担当しました。

現時点（2025年時点）で公式や出版社、制作会社から第3期制作の発表は行われていません。
アニメ2期では原作に沿いつつもオリジナル要素を強く加えた展開を採用しており、原作の終盤とは異なる物語を描いています。そのため、続編を制作する場合、2期の結末と整合性を取るか、あるいは完全に原作準拠で作り直す必要があるなど、制作上の課題が存在します。

また、円盤（Blu-ray／DVD）の売上が比較的低かったことから、収益面で新作制作のハードルが高い点も懸念材料です。配信サービスでの視聴や海外人気が一定数あるとはいえ、続編の可能性は現状では低めと考えられます。
ただし、原作完結後に新規ファンが増えていること、再アニメ化ブームの流れがあることから、将来的にリメイクや再構成作品として動く可能性は残っています。

アニメの続きはどこから読めばいいか

第1期は原作の6巻前後までをアニメ化しています。モジャを祓い、芦屋と安倍の関係が徐々に深まっていく初期エピソードを中心に構成されています。

第2期では、原作の12巻前後までをベースに、一部オリジナル展開を加えたストーリーとなっています。
したがって、アニメの続きとして原作を読む場合は、13巻から読むのが最もスムーズです。

ただし、アニメ版と原作では一部の展開が異なるため、完全な続きというよりは「原作の正史を読みたい」という意識で、11〜13巻あたりを復習してから読み進めるのがおすすめです。原作の方がキャラクターの心理描写や世界観設定がより深く描かれており、アニメでは省略された部分を補うことができます。

円盤（DVD・Blu-ray）の売上

アニメ化作品において円盤売上は重要な指標であり、制作続行の判断にも影響します。
『不機嫌なモノノケ庵』の場合、売上は以下の通りとされています。

• 第1期の平均売上：約1,300〜1,500枚

• 第2期の第1巻売上：約1,600枚前後

一般的にアニメの続編が企画される目安は平均売上5,000枚以上といわれます。それと比較すると、本作の販売数はかなり控えめです。
そのため、円盤単体の売上から見る限り、3期制作が実現する可能性は低いと判断されます。

しかし、近年は配信収益やグッズ売上、電子書籍の拡販効果なども重視される傾向にあります。特に海外の動画配信サービスでの人気が一定あれば、将来的に配信主導での新作制作が行われるケースもあるため、完全に望みが絶たれたわけではありません。

原作のストック状況

原作は2021年に第18巻をもって完結しています。
よって、ストックとしては十分どころかすべての素材が出揃っており、仮にアニメ3期や完結編を制作する場合も、物語を最後まで映像化することが可能です。

2期では原作12巻付近までの内容を扱っていたため、もし原作準拠で3期を作るとすれば、13巻から18巻までが主な範囲になります。
この区間は、登場人物の過去や隠世の真相、先代主アオイとの関係など、物語全体の核心に迫る重要な章となっています。完結までを描けば非常にドラマティックな展開となるため、映像化の価値は高いです。

原作の売上・発行部数

『不機嫌なモノノケ庵』の累計発行部数は、公式には明かされていません。
ただし、ガンガンONLINEの人気連載として長期間続いたこと、アニメ化が2度行われたことなどから、単巻あたりの販売数は安定していたと考えられます。
SNSや書店ランキングでは「癒やし系妖怪漫画」として固定ファン層を形成しており、完結巻発売時には多くの読者から惜しまれる声が上がりました。

派手なヒット作というよりは、安定した支持を持つ“静かな人気作”という位置づけです。

アニメと原作の違い

アニメはおおむね原作を踏襲していますが、いくつかの点で改変があります。

1. 時系列の整理とエピソードの入れ替え
   　アニメ版ではテンポを重視し、一部エピソードの順序が変更されています。
   　物語の整合性を保ちながらも、初見でも理解しやすいよう再構成されています。

2. 原作の深い設定や伏線の省略
   　隠世の政治体制や、先代庵主アオイに関する伏線など、原作では後半で明かされる部分がカットまたは軽く触れる程度に留められています。

3. 2期後半でのオリジナル要素
   　2期ではアニメ独自の結末を採用しています。原作ではさらに長い物語が続きますが、アニメでは1クールで締めるために構成を変更しています。
   　そのため、原作の完全再現というよりは、アニメ独自の「一区切りエンド」に仕上げられています。

4. 演出・感情表現の違い
   　原作は繊細な心理描写が多く、沈黙や間による情感表現が特徴です。
   　アニメでは動きや声による感情の表出が加わり、より明るくテンポの良い印象に仕上がっています。

作者・ワザワキリの他作品

ワザワキリは『不機嫌なモノノケ庵』の他に、近年では『あだしの奇象官』という作品を発表しています。
この作品は、人々に災いをもたらす“奇象（きしょう）”と呼ばれる怪異現象を取り締まる官職を題材にしたもので、幻想的な世界観と不思議な現象を扱う点で共通性があります。

また、ワザワキリは独特の線の柔らかさと、静かで淡い雰囲気を描く作風で知られており、登場人物の間に流れる“空気”を感じ取れるような作品作りを得意としています。
『不機嫌なモノノケ庵』では、妖怪と人間が互いを理解しようとする優しさを、決して大げさではなく淡々と描く姿勢が多くの読者の共感を呼びました。

類似のおすすめ作品

『不機嫌なモノノケ庵』と世界観・雰囲気が近い作品として、以下が挙げられます。

• 夏目友人帳（緑川ゆき）
  　妖怪と人との関係を静かに描く代表作。心を癒やす系の物語が好きな人には必ず刺さる作品です。

• 蟲師（漆原友紀）
  　妖怪ではなく「蟲」という生命体を題材に、人間と自然の境界を描く哲学的な作品。静謐な世界観が魅力。

• 鬼灯の冷徹（江口夏実）
  　コミカルな地獄の日常を描いた作品で、異界世界観とキャラ同士の掛け合いの面白さが共通します。

• 夏雪ランデブーや有頂天家族なども、現世と異界、幽霊や妖との関わりを情緒的に描いた点で近い世界観を持っています。

これらの作品はいずれも「人間と異なる存在が共に生きる世界」を描きながら、単なるファンタジーに留まらず、人の心の在り方を問いかける物語です。『不機嫌なモノノケ庵』の余韻を引き継ぐには最適なラインナップです。

まとめ

• 『不機嫌なモノノケ庵』は、ワザワキリによる妖怪ファンタジー漫画で、全18巻＋祝ノ書で完結。

• アニメは2期（全26話）まで制作されたが、続編の発表はなし。3期制作の可能性は現状低め。

• 円盤売上は1,300〜1,600枚程度で、中堅以下の水準。採算的には厳しい。

• 原作は完結しており、アニメの続きは13巻から読むとよい。

• 原作の方が心理描写や世界設定が深く、アニメでは一部改変あり。

• 作者の他作品として『あだしの奇象官』があり、幻想的な作風を継承している。

• 類似作品としては『夏目友人帳』『蟲師』『鬼灯の冷徹』などが挙げられる。

全体的に『不機嫌なモノノケ庵』は、派手さよりも静かな感動や温もりを重視した“癒し系妖怪譚”です。
続編の望みは薄いものの、完結した原作を読むことで、アニメでは描かれなかった心の深層や真の結末に触れることができるでしょう。