2期・続編の可能性

現在（2025年時点）において、『初恋モンスター』のテレビアニメ第2期の制作発表は行われていません。2016年に第1期が放送されて以降、OVAの制作が行われたものの、続編企画の公式な動きは確認されていません。

一般的にアニメの続編が制作されるためには、いくつかの要素が重要です。

1. 原作ストックの量 – 新たなシーズン分のエピソードを構成できるだけの未アニメ化原作があるか。

2. 円盤（BD・DVD）や配信の売上 – 商業的に成功しているかどうか。

3. 制作委員会・制作会社の意向 – 制作体制の継続やスポンサーの関与が可能か。

これらを踏まえると、『初恋モンスター』の第2期実現の可能性は、現状ではかなり低いと考えられます。円盤売上が伸び悩んだこと、原作が一時休載を経て完結していることなどが要因です。ただし、ここ数年では“再評価”によって旧作が続編を得るケースもあるため、完全に可能性が消えたわけではありません。

アニメの続きはどこから読めばいいか

アニメ版（全12話）は、原作コミックスの1巻から5巻あたりの内容を中心に構成されています。物語の基幹部分である「夏歩と奏の出会い〜恋人関係の成立」までを描き切っており、アニメ最終話では原作の中盤にあたる展開で締めくくられました。

そのため、アニメの続きが気になる場合は、原作の6巻から読み始めるのが最も自然です。
OVAではアニメ最終話の後日談的なエピソードが収録されており、それも含めるなら6巻以降＋8巻特装版をチェックすると流れをつかみやすいでしょう。

原作では、アニメよりも奏の家族関係や周囲のキャラクターの掘り下げ、夏歩の心理描写などがより深く描かれており、アニメを視聴済みの人でも新鮮な発見があります。

円盤（DVD・BD）の売上状況

『初恋モンスター』の円盤（BD/DVD）の売上は、一般的な続編制作ラインとされる「1巻あたり5,000枚」を大きく下回る結果でした。
オリコン週間アニメランキングでは、初週で1,000枚前後というデータが確認されており、その後の巻も同程度で推移したとされています。

この水準は、商業的には“赤字ライン”に近い数字とされており、制作委員会として続編を企画するには厳しい結果です。
ただし、作品自体は個性的な世界観や強いファン層を持ち、グッズやイベントでは一定の人気がありました。アニメ放送終了後も、声優陣（櫻井孝宏、岡本信彦、森久保祥太郎など）の演技や主題歌などは高く評価されています。

原作のストック状況

原作漫画は全8巻で完結しています。
途中で掲載誌『ARIA』の休刊や移籍などがあったため、一時的に休載期間も存在しました。最終的には連載が再開され、物語は一区切りを迎えています。

そのため、アニメ化時点ではまだ原作のストックがあったものの、現在は全話がすでに刊行済みであり、新しいストックは存在しません。
この点も、アニメの第2期が作られていない理由のひとつと考えられます。

原作の売上・発行部数

正式な累計発行部数は公表されていませんが、講談社の少女漫画ラインナップの中では中堅クラスとされています。一般的には、単巻で数万部〜十数万部クラスと見られており、メディア化により一時的に販売が伸びたものの、続編決定に至るほどのヒットではありませんでした。

しかし、キャラクター人気は高く、特に「小学生だけどイケメン」「常識がズレている恋人」といった奇抜な設定がSNSを中心に話題を呼び、ギャグシーンのスクリーンショットやセリフが拡散されるなど、ネット上での認知度は比較的高い作品です。

アニメと原作の違い

アニメ版は原作の主要ストーリーを忠実に再現しつつも、テンポの良さとギャグシーンの勢いを重視して演出されています。そのため、原作で丁寧に描かれていた心理描写やキャラクターの背景設定が一部簡略化されている点が見られます。

また、アニメでは「奏の小学生らしさ」を誇張するような演出が多く、ギャグとしてのテンポを優先した脚本になっています。原作ではその一方で、奏の内面や家庭環境、年齢差恋愛に対する真剣な葛藤なども掘り下げられており、よりバランスの取れた恋愛ドラマとして読めます。

つまり、アニメは“テンポの良いコメディ寄り”、原作は“心情描写の多い恋愛物”という違いがあります。どちらにも異なる魅力があり、両方を知ることで作品世界をより深く理解できます。

作者・日吉丸晃の他の作品

日吉丸晃は、デビュー以来一貫して女性向け漫画誌で活動している漫画家です。代表作は『初恋モンスター』ですが、他にも短編や読切作品を手がけています。

代表的な作品としては以下のようなものがあります。

• 『プリンス様の言うとおりっ!!』

• 『初恋モンスター 番外編』

• 『そりゃないぜ☆ダーリン』など

どの作品も恋愛を軸に、テンポのよいギャグと個性豊かなキャラクターが特徴で、軽妙なセリフ回しや突拍子もない展開が魅力です。

類似のおすすめ作品

『初恋モンスター』が好きな人には、以下のような作品もおすすめです。

1. 『月刊少女野崎くん』
   恋愛とギャグの融合が非常にうまい学園コメディ。登場人物のテンポ感とツッコミの鋭さが近い。

2. 『ニセコイ』
   恋愛のすれ違いやギャグ的展開をバランスよく取り入れた王道ラブコメ。登場人物の関係性が複雑で楽しい。

3. 『好きっていいなよ。』
   恋愛をもう少し現実的に描いた青春ドラマ。恋に不器用な少女の成長を描く。

4. 『君に届け』
   ピュアな初恋を真正面から描いた少女漫画の代表格。キャラクターの内面描写が秀逸。

5. 『私がモテてどうすんだ』
   コメディ調で恋愛を描きつつ、オタク文化や自己変革も扱う作品。奇抜な設定が『初恋モンスター』に通じる。

これらは「ギャグ×恋愛」あるいは「非現実的な設定×純愛」の構成が似ており、読後感も近いと感じる読者が多いです。

まとめ

『初恋モンスター』は、ラブコメとしての王道要素に奇抜な年齢設定を組み合わせた唯一無二の作品です。
見た目は大人・中身は小学生という設定のギャップと、それを真剣に受け止めようとするヒロインの葛藤を、コメディとシリアスの両面から描いた点が評価されています。

一方で、アニメ第2期の可能性は低く、円盤売上や原作ストックの面で新作を期待するのは難しい状況です。
しかし、アニメで描かれなかった原作後半では、奏と夏歩の関係がより深まり、人間的な成長も見られます。アニメを見て作品の雰囲気が気に入ったなら、6巻以降を読むことでより豊かな世界観を楽しめるでしょう。

日吉丸晃の作風は独特で、恋愛とギャグを巧みに融合させるセンスに定評があります。
『初恋モンスター』は、単なるラブコメではなく“恋とは何か”を子どもの視点と大人の視点の両面から問いかける、稀有な青春物語として現在も根強い人気を保っています。